| Abstract |
「要旨」小児アトピー性皮膚炎(AD)患者に使用可能な全身治療薬の選択肢が増えている. 2024年6月現在, 生物学的製剤で皮下注製剤のデュピルマブ, ネモリズマブ, レブリキズマブ, 経口ヤヌスキナーゼ阻害薬のバリシチニブ, ウパダシチニブ, アブロシチニブが中等症から重症の小児AD患者に使用可能であるが, 12歳未満に使用可能な薬剤はデュピルマブ(生後6カ月以上), ネモリズマブ(6歳以上), バリシチニブ(2歳以上)で, 経口薬ではバリシチニブのみである. バリシチニブは, 日本では2017年に既存治療で効果不十分な関節リウマチの適応で承認され, 2020年から既存治療で効果不十分な成人AD患者の治療に用いられてきた. 2歳以上18歳未満の小児AD患者を対象とした国際共同第3相試験(二重盲検期: 16週間)では, バリシチニブが小児患者のAD症状を投与早期から改善することが示され, これまでの安全性プロファイルと異なる知見は認められなかった. バリシチニブは2024年3月に経口薬としては日本で初めて2歳以上の小児AD患者に使用可能となったが, 今後も, 難治状態の小児AD治療のアンメットニーズを満たす治療薬の開発が期待される. |