アブストラクト
Title | 胃癌の新しい分子標的薬 - 抗クローディン18.2抗体Zolbetuximab - |
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Subtitle | 特集 新しい治療標的クローディン |
Authors | 山本一将, 中山厳馬, 設楽紘平* |
Authors (kana) | |
Organization | *国立研究開発法人 国立がん研究センター東病院・消化管内科 |
Journal | 癌と化学療法 |
Volume | 51 |
Number | 11 |
Page | 1111-1118 |
Year/Month | 2024 / 11 |
Article | 報告 |
Publisher | 癌と化学療法社 |
Abstract | 「要旨」切除不能進行・再発胃癌/食道胃接合部癌に対する標準的な一次治療はフッ化ピリミジン系薬剤とプラチナ系薬剤の併用療法であり, HER2陽性であればトラスツズマブ, HER2陰性であればニボルマブなどの免疫チェックポイント阻害剤(immune checkpoint inhibitor: ICI)を追加することが標準治療となっている. しかしHER2を標的とした分子標的薬やICIの恩恵を得られない患者は依然として多く, 新たな治療標的が探索されてきた. そのようななか, CLDN18.2は胃における組織特異的治療標的として注目され, CLDN18.2に対するファーストインクラスのキメラIgG1モノクローナル抗体であるゾルベツキシマブが開発された. ゾルベツキシマブは抗体依存性細胞傷害作用(ADCC)および補体依存性細胞傷害作用(CDC)を介してがん細胞死を誘導する. 最近, ゾルベツキシマブと化学療法の併用が, HER2陰性CLDN18.2陽性未治療切除不能進行・再発胃癌/食道胃接合部癌患者を対象とした臨床試験において生存割合の向上を示した. 2024年3月ゾルベツキシマブは本邦で承認され, HER2陰性CLDN18.2陽性例の新たな標準治療となった. CLDN18.2陽性例には, 若年者やスキルス胃癌あるいは腹膜播種・腹水を伴う難治性胃癌の患者集団が多く含まれており, 新たな治療選択肢が登場した意義は大きい. 今後, ゾルベツキシマブの新たな併用療法の可能性や他のCLDN18.2を標的とした治療(モノクローナル抗体, 抗体薬物複合体, キメラ抗原受容体T細胞療法, 二重特異性抗体)の開発にも期待が寄せられている. 本稿では, ゾルベツキシマブを中心にCLDN18.2陽性胃癌/食道胃接合部癌における治療について概説する. |
Practice | 臨床医学:一般 |
Keywords | Gastric cancer, Gastroesophageal junction cancer, CLDN18.2, Zolbetuximab |
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