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アブストラクト

Title 第25題 拒薬によって精神症状が再燃した統合失調症患者への服薬支援 個別心理教育とタイダルモデルの実践
Subtitle
Authors 小野悟
Authors (kana)
Organization 公益社団法人岐阜病院
Journal 日本精神科看護学術集会誌
Volume 62
Number 2
Page 128-132
Year/Month 2019 /
Article 報告
Publisher 日本精神科看護協会
Abstract 「Summary」アドヒアランスの悪い統合失調症患者の再発率は1年以内70%以上とされ, 初回エピソードや副作用の実感が強いハイリスクケースには, 患者の転機となる場面での心理教育面接が効果的とされる. 今回, 拒薬により精神症状が再燃した統合失調症患者A氏に対し, 個別心理教育とタイダルモデル面接を実践することで疾患や服薬に対する認識の変化を明らかにした. A氏は入院から3週間ほどで隔離は終了し外出も行っていたが, 退院が許可されなかったことで混乱し再隔離となった. A氏は「薬はトイレで吐いていた, 飲まずに治したかった」と語っていたが, 再隔離が終了する際にはA氏から「統合失調症について知りたい」という発言があり, 個別心理教育とタイダルモデル面接を併せて実施した. 再び疾患や治療に向き合い始めた転機となるタイミングで個別心理教育を実践したことにより, 睡眠や気分の安定という薬物療法の効果を実感することができた. 症状変化について「自分は病気だったと思う, 今は入院してよかったと思える」と振り返った. 自覚的薬物体験の変化を共有したことが, 疾患受容や服薬治療への参画意識を育み, アドヒアランスの向上につながったと考える. 倫理的配慮として対象者に参加の自由, 個人情報保護, 研究内容および結果の公表方法について文書と口頭で説明し承諾を得た. また, 岐阜病院倫理委員会の承認を得た. なお, 本論文について研究者に開示すべき利益相反関係にある企業などはない.
Practice 看護学
Keywords 統合失調症, 服薬支援, タイダルモデル
  • 全文ダウンロード: 従量制、基本料金制の方共に803円(税込) です。

参考文献

  • 1) 玉地亜衣,酒井明,佐藤素子他:精神科病院における患者の服薬アドヒアランス向上に向けた薬剤管理指導業務の構築,薬学雑誌, 130(11), p1565-1572, 2010.
  • 2) 日比野浩之:統合失調症のアドヒアランス向上のために, Schizophrenia Care, 2(3), p18-21, 2017.
  • 3) 坂田三允:心を病む人の生活をささえる看護,中央法規出版, p240-244, 2018.
  • 4) 内野俊郎:治療アドヒアランスの獲得と維持-心理教育をどう利用するか,精神神経学雑誌, 113(10), p1048-1054, 2011.
  • 5) 内野俊郎:治療アドヒアランスの獲得と維持-心理教育をどう利用するか,精神神経学雑誌, 113(10), p1048-1054, 2011.
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  • 6) 萱間真美:バーカー先生とタイダルモデル, 精神看護, 9(6), p94-97, 2006.
  • 7) 神田あゆみ:タイダルモデルを用いた看護面接で患者が自身や問題に向き合うのを手伝う,精神看護, 9(6), p32-39, 2006.
  • 8) 曽根原純子:タイダルモデル面接をとおして患者とともにうつに向き合う,臨床看護, 31(1), p84-88, 2005.
  • 9) 萱間真美他編:精神看護学-こころ・からだ・かかわりのプラクティス,南江堂, p428, 2010.
  • 10) 阿保順子,佐久間えりか編:統合失調症急性期看護マニュアル 改訂版,すぴか書房, p22-23, 2009.
  • 11) 日本精神科看護技術協会監:精神疾患/薬物療法,実践 精神科看護テキスト4 改訂版,精神看護出版, p108-116, 2011.