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アブストラクト

Title 第10題 リカバリーと退院支援をめざした精神科慢性期病棟での実態調査 退院支援の指標にGAF得点を用いた要因分析
Subtitle 看護研究論文
Authors 大石真那斗1), 竹内陽子2), 瀬戸信哉1), 宮本仁美1), 東川貞男1)
Authors (kana)
Organization 1)石川県立こころの病院, 2)金城大学看護学部
Journal 日本精神科看護学術集会誌
Volume 65
Number 2
Page 50-54
Year/Month 2022 /
Article 報告
Publisher 日本精神科看護協会
Abstract 「Summary」 本研究の目的は, 精神科慢性期病棟における長期入院患者の退院支援の指標としてGAF得点を用いて分析し, 影響を及ぼす要因を明らかにすることである. また, リカバリーと退院支援に向けた示唆を得ることを意義とする. 対象は精神科慢性期病棟の入院者のうち, 入院期間1年以上の者とした. 調査方法は診療録および無記名自記式質問紙調査によりデータ収集を行った. 基本属性は年齢, 性別, 診断名, 入院形態, 入院期間, 過去の入院歴, 調査時点での退院先, 退院後のキーパーソンや同居人の有無, CP換算値などを調べた. 退院に影響を及ぼす因子としてGAF尺度を基軸として, BPRS尺度, PSP尺度, 退院積極度尺度, 主観的QOL尺度を用いて調査した. 分析は, 記述統計量算出後, 正規性を確認しGAF得点と各変数との相関を調べた. 次にGAF得点を高群と低群に分け各調査項目との関連についてMann-Whitney-U検定, χ2検定を用いた. 倫理的配慮として, 対象者に対して研究目的, 内容, 結果の公表などについて説明し, 対象者の意思で研究参加の諾否が決定され, 承諾が得られた. また, 本研究は石川県立こころの病院倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:211号). なお, 発表者らに開示すべき利益相反関係にある企業などはない. 結果, 対象の概要は, 年齢は平均54.5±15歳, 性別は男性が68.7%, 女性が31.2%などであった. 尺度得点は平均でGAF32.0±8.13点, BPRS36.41±8.91点, PSP38.53±12.79点, 退院積極度10.66±2.37点, QOLは(1)理想が52.47±7.08点, (2)現実は48.75±9.29点であった. GAF得点との相関はBPRS得点と-0.69, CP換算量と-0.33, キーパーソンと0.38, 同居人の有無と0.33などであった. 退院積極度はQOL(1)理想と-0.56, (2)現実と-0.24であった. GAF得点の高群・低群比較では, BPRS, PSPとCP換算値に有意差が認められた. GAF得点がBPRS得点, CP換算量との相関から, 退院に向けて症状の安定は不可欠であった. 同居人の有無で弱い相関が認めたことは, 単身か否かなどが退院に影響を及ぼす要因として示唆された. QOLからは, リカバリーとして患者の理想と現実にそい, 理想を叶えるようにかかわることで, 退院を積極的に支援していく必要性が示唆された.
Practice 看護学
Keywords リカバリー, 退院支援, 精神科長期入院
  • 全文ダウンロード: 従量制、基本料金制の方共に803円(税込) です。

参考文献

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  • 6) 大島巌, 吉住昭, 稲沢公一他 : 精神病院長期入院者の退院に対する意識とその形成要因-自記式全国調査に基づく分析, 精神医学, 38(12), p1248-1256, 1996.
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  • 11) 加賀美開, 雄鹿賢哉, 湯浅孝男 : 統合失調症患者の退院に対する認識とその関連要因の検討, 秋田大学大学院医学系研究科保健学専攻紀要, 22(2), p119, 2014.