~
検索条件をクリア

アブストラクト

Title 第21題 長期入院にある統合失調症患者への退院支援 易怒性の高い患者へストレングスモデルを用いたかかわり
Subtitle 看護研究論文
Authors 中山崇1), 田代誠2)
Authors (kana)
Organization 1)医療法人社団秦和会秦野病院, 2)神奈川工科大学健康医療科学部
Journal 日本精神科看護学術集会誌
Volume 67
Number 2
Page 107-111
Year/Month 2024 /
Article 報告
Publisher 日本精神科看護協会
Abstract 「Summary」本研究は, 長期入院にある易怒的な言動をくり返すA氏にストレングスモデルを用いた退院支援を行い, A氏の行動変容の内容について明らかにする実践報告である. A氏(40歳代, 女性, 統合失調症)は自宅退院を希望していたが, ストレスに脆弱で幻覚妄想状態になりやすく暴言や粗暴行為により, 入院期間は10年以上に及んでいた. 研究者はストレングス・マッピングシート(以下, シート)を用いた面談のなかで肯定的なフィードバックをくり返した. A氏の言動や精神症状などの推移をまとめ変容について分析した. 倫理的配慮として, 本研究の実施に際して, 医療法人社団秦和会秦野病院倫理委員会の審査を受け承認を得た(承認番号: 2023第01号). A氏に対して, 口頭および文書にて, 研究の目的, 意義, 方法, データおよび資料の管理と保管について説明した. 研究者との対話への参加は自由意志であり, 面接日ごとに参加の意思について確認することを説明した. 研究への同意と同意撤回の自由, 対話への参加を断っても治療方針など, なんら不利益は受けないこと, プライバシーの保護, 個人情報の保護, 研究参加により期待される利益・不利益および配慮, 研究結果の公開方法, 質問の自由性, 本研究終了後のデータの取り扱いに関してわかりやすい言葉を用いて説明した. A氏が研究者との対話を続けていくことに対して十分納得した後, 同意書に直筆による署名をもって承認を得た. なお, 発表者らに開示すべき利益相反関係にある企業などはない. 面談は退院までに23回行い, 10か月間に及んだ. 面談のプロセスは【第I期: シートを活用した介入を拒否した時期】【第II期: 医療者との関係性が深まり, 意欲的な言動が表れ始めた時期】【第III期: 精神状態が不安定で面談によって改善するが, すぐに悪化する時期】【第IV期: 苛立ちながらも症状コントロールができた時期】【第V期: 社会資源を受け入れた退院】に分類できた. ストレングスモデルを用いたかかわりと面談を継続することで, A氏は笑顔をみせて具体的に夢を語り, 目標に向けて作業療法に参加する, みずから不穏時薬を希望するなど, 前向きな行動へと変容した. 病状が不安定ななかでも面談を継続すると, 不眠や不安がイライラの原因だと気づき, 自身の病状について現実的に語れるようになった. 被害的な幻聴に対しても「ま, いっか」と受け流し, 衝動性を抑制できた. そして「少しずつよくなってきている」と力強く語り退院にいたった. 継続的なストレングスモデルによる支援を通じて, A氏は目標達成を重ねるなかで成功体験を得て, 対人関係や自己肯定感の向上に寄与したと考えられる. また, このような体験を経て, 前向きな思考や自己認識力, 楽観性が育まれ, レジリエンスが高まり, 症状のコントロールにもよい影響を及ぼしたと推測される. 本研究の結果から, 長期入院中で易怒性の高い患者に対しても, 個別の強みに着目した継続的支援がリカバリーを促し, 地域生活に必要なセルフケアの獲得を支援する有効な介入となり得ることが示唆された.
Practice 看護学
Keywords ストレングスモデル, 易怒性, 退院支援
  • 全文ダウンロード: 従量制、基本料金制の方共に803円(税込) です。