アブストラクト
| Title | 自己効力感の視点から見た認知症の人と家族のQOL |
|---|---|
| Subtitle | 特集 認知症の人の生活を考える - 患者・家族のQOLのために - |
| Authors | 鈴木みずえ*1, 繁田雅弘*2 |
| Authors (kana) | すずきみずえ, しげたまさひろ |
| Organization | *1浜松医科大学臨床看護学講座, 教授, *2慈恵会医科大学精神医学講座, 教授 |
| Journal | MB Medical Rehabilitation |
| Volume | |
| Number | 273 |
| Page | 38-48 |
| Year/Month | 2022 / 4 |
| Article | 報告 |
| Publisher | 全日本病院出版会 |
| Abstract | 「Abstract」心理学者Banduraが提唱した自己効力感によると, 人は物事に対する自己効力感が強いほど実際にその行動を遂行できるとされている. 日常生活において様々な戸惑いや不安を持つ認知症の人に対して, 認知機能障害に関する失敗や生活の支障を最小限にして, 「自分はうまくできる!」という自己効力感を維持してもらうことは日常生活の支援のなかで重要な位置づけにあり, 本人・家族のQOLの維持につながる. 今後, 認知症の人の自己効力感の維持・向上に着目した独自のケアを検討することで患者が自信を回復し, 地域で主体的に行動できることをめざした介入が期待されている. そのためには自己効力感を高める4つのアプローチ「(1) 達成経験, (2) 言語的説得, (3) 代理体験, (4) 情動的喚起」に関するケアを工夫して実践する必要がある. 認知症の保健・医療・福祉専門職が, 認知症の人は誰もが経験したことがない困難に立ち向かい, それを乗り越えようとしている人として捉える必要がある. |
| Practice | 医療技術 |
| Keywords | 認知症 (dementia), 自己効力感 (self-efficacy), 本人と家族のQOL (patient and family quality of life) |
- 全文ダウンロード： 従量制、基本料金制の方共に968円(税込) です。
参考文献
- 1) 内閣府 : 高齢化の状況, [https://www8.cao.go.jp/kourei/whitepaper/w-2021/gaiyou/pdf/1s1s.pdf].
- 2) 総務省 : 統計からみた我が国の高齢者, 令和2(2020)年9月20日[https://www.stat.go.jp/data/topics/pdf/topics126.pdf].
- 3) 厚生労働省 : 認知症施策推進大綱, [https://www.mhlw.go.jp/content/000519053.pdf].
- 4) Lawton MP : Quality of Life in Alzheimer Dis-ease. Alzheimer Dis Assoc Disord, 8(S3) : 138-150, 1994.
- 5) Bandura A : Self-efficacy : Toward a unifying theory of behavioral change. Psychol Rev, 84(2) : 191-215, 1977.
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- 6) 成田健一ほか : 特性的自己効力感尺度の検討-生涯発達的利用の可能性を探る-. 教心理研, 43(3) : 306-314, 1995.
- 7) 鈴木みずえほか : 在宅高齢者の転倒に対する自己効力感の測定. 老年精医誌, 16(10) : 1175-1183, 2005.
- 8) 鈴木みずえほか : 在宅高齢者の日常生活動作に対する自己効力感測定の試み 自己効力感と関連する要因の検討. 看護研究, 32(2) : 119-128, 1999.
- 9) 福田珠恵 : 老年期に痴呆症という病を生きる体験 : 自己の存在の確かさを求めて-病の兆候からグループホーム入居後まで. 日看科会誌, 25(3) : 41-50, 2005.
- 10) 繁田雅弘 : 自己効力感. 認知症の精神療法-アルツハイマー型認知症の人との対話-, pp.29-31, HOUSE出版, 2020.
- 11) 中西亜紀 : 認知症の治療と管理. 中島健二ほか(編), 認知症ハンドブック第2版, pp.230-322, 医学書院, 2020.
- 12) Christine Bryden : 馬籠久美子ほか(訳), 私は私になっていく-痴呆とダンスを. p.169, クリエイツかもがわ, 2004.
- 13) 水野 裕(監修) : DCM(認知症ケアマッピング)理念と実践. 第8版日本語版4版, 2011.
- 14) トム・キットウッド : 高橋誠一(訳), 認知症のパーソンセンタードケア, 筒井書房, 2005.
- 15) 阪野雄二ほか : セルフ・エフィカシーの臨床倫理心理学, 北大路書房, 2016.
- 16) 井出 訓ほか : 高齢者の記憶トレーニング・プログラム-物忘れ予防教室のこころみ-. 日本老年看護学会第8回学術集会抄録集, 126, 2003.
- 17) 井出 訓ほか : 老人保健施設入所者とデイケア利用者にみられるメタ記憶と抑うつ感の関係とその特徴. 老年看護学, 6(1) : 19-29, 2001.
- 18) 井出 訓 : 日常生活場面における記憶の自己効力感測定尺度(Everyday Memory Self-Efficacy Scale : EMSES)の作成, 及び妥当性検証のための構成概念の分析. 老年看護学, 8(2) : 44-53, 2004.
- 19) 鈴木みずえほか : 日本語版Dementia Quality of Life Instrumentの作成と信頼性・妥当性の検討. 日老医誌, 42(4) : 423-431, 2005.
- 20) Whitlatch CJ, et al : Dyadic intervention for fam-ily caregivers and care receivers in early-stage dementia. Gerontologist, 46(5) : 688-694, 2006.
- 21) Yamakawa M, et al : Sustainable nurse-led care for people with dementia including mild cogni-tive impairment and their family in an ambula-tory care setting : A scoping review. Int J Nurs Pract, 18 : e13008, 2021.
- 22) 矢吹知之 : 人権と共生社会 認知症の本人と家族の一体的ケアプログラム 日本版ミーティングセンター・サポートプログラムの開発, 老年精医誌, 32(2) : 193-200, 2021.
