| Abstract |
「Abstract」日本循環器学会が主導するDPCデータベース (JROAD-DPC) の分析によれば, 心不全患者における高齢化の進行および日常生活動作 (ADL) の低下が顕著であり, 集中治療室 (ICU) への入室患者数が増加傾向にあることが示されている. 一方で, 入院中の心臓リハビリテーション実施率は55.8%と漸増しており, その重要性が広く認識されつつある. また, 近年のMCS (機械的循環補助) の進展は, ICUにおける重症患者の救命率向上に大きく寄与している一方で, 新たなリハビリテーションの課題を浮き彫りにしている. 特に, ECMO (体外式膜型人工肺) やIMPELLA (経皮的心室補助装置) などのデバイスを装着している患者では, ADLの著しい低下やICU獲得性筋力低下 (ICU-AW) が生じやすく, これらに対する早期のリハビリテーション介入の重要性が高まっている. 従来のガイドラインにおいては, IABP (大動脈内バルーンパンピング) やECMO管理下でのリハビリテーションは禁忌とされていた. しかし, 2023年に改訂された「重症患者リハビリテーション診療ガイドライン」においては, V-V ECMO装着患者の離床は禁忌ではなくなった. さらに, central ECMO管理下での歩行練習や, IMPELLA装着下での歩行練習に関する症例報告が出るなど, リハビリテーションの適応範囲は大きく拡大している. MCS装置を装着した患者では, 低灌流や全身性炎症反応が原因となり骨格筋萎縮, 脳血流の低下, 腸管機能障害が引き起こされることが多く, これらがADLのさらなる低下を招く要因となる. 特に, ECMOを導入した患者の約37%が6か月後に身体機能, 精神機能, 認知機能に障害を抱えるとの報告があり, 早期のリハビリテーション介入がその予後改善において重要であると示唆されている. こうした背景から, ICUから段階的かつ計画的にリハビリテーションを進めることは, 退院時のADL向上や再入院リスクの低減に寄与すると考えられ, ICU患者の長期的な予後改善にもつながる可能性が高いと考えられる. |