Authors |
吉丸耕一朗*, 松浦俊治, 内田康幸, 前田翔平, 近藤琢也, 高橋良彰, 福田篤久, 川久保尚徳, 永田公二, 田尻達郎 |
Abstract |
「はじめに」新生児期や乳児期早期には, 肝・胆道機能障害から胆汁うっ滞性黄疸が生じることがあり, その有病率は, 2,500人の出生児のうち1人と推定されている. さらに, NICUに入院するような新生児では, 健常児と比較し約50倍の胆汁うっ滞のリスクがあると報告されている. 実際に, TufanoらによるNICU入院児1,289例の検討では, 27例 (2%) に胆汁うっ滞を認め, うち25例 (92.5%) が早産児であり, その25例中22例 (88%) が極低出生体重児であると報告されている. 低出生体重児における胆汁うっ滞の発症リスクとしては, 経静脈栄養に伴う胆汁うっ滞 (parenteral nutrition-associated cholestasis : PNAC) , 絶食, 胆汁代謝特性による濃縮胆汁症候群 (inspissated bile syndrome : IBS) , 消化管の未熟性, バクテリアルトランスロケーション, 免疫機能の未熟性, 周産期仮死 (一過性肝虚血) , 解剖学的な未熟性, 出生後にNICUで使用する薬剤など種々の要因があげられ, 体格が未熟な児ほどNICUにおいて種々の治療が必要となるため, これらのリスク要因に注視する必要がある. |