アブストラクト
Title | 医療療養型病院で終末期がん患者と関わる看護師が体験する困難 |
---|---|
Subtitle | 原著 |
Authors | 石原千晶1, 大山ちあき2, 村上千秋2, 石田和子1 |
Authors (kana) | |
Organization | 1新潟県立看護大学看護学部, 2医療法人二之沢会二之沢病院 |
Journal | 新潟医学会雑誌 |
Volume | 133 |
Number | 5 |
Page | 205-214 |
Year/Month | 2019 / 5 |
Article | 原著 |
Publisher | 新潟医学会 |
Abstract | 「要旨」本研究は, 医療療養型病院に入院している終末期がん患者の看護実践において, 看護師が体験する困難を明らかにすることを目的として実施した. 対象は, 医療療養型病院に勤務する看護師7名で, 終末期がん患者の看護実践で体験した困難について, インタビューガイドに沿ってフォーカス・グループインタビューを行った. 面接内容の逐語録をデータとし, 内容分析の手法を用いて分析した. 医療療養型病院で終末期がん患者と関わる看護師が体験する困難は, 【今までの方法が通じない】【がん患者とのコミュニケーションが困難】【患者・家族の対応に思い悩み心が揺らぐ】【終末期がん患者を看護する力がない】の4カテゴリが導き出された. 看護師は【今までの方法が通じない】と, 時間通りの決められた看護ではない, 患者・家族のニーズを捉えた, きめ細やかな看護ケアを行う困難があった. さらに, 患者・家族との関わりにおいて, 【がん患者とのコミュニケーションが困難】【患者・家族の対応に思い悩み心が揺らぐ】と苦悩する看護師の姿があった. 困惑した状態で一歩踏み込んだ介入ができず, 【終末期がん患者を看護する力がない】と看護師としての力量のなさを痛感する体験となっていた. 医療機関の役割分担の推進により, 医療療養型病院に入院するがん患者は増加し, 看護師に求められるケアは変化していくと考えられる. 看護の質を向上するためにもがん看護や終末期看護における具体的方策の教育の機会が必要である. 看護師のモチベーションを維持し, さらには学習ニーズを触発することが課題と考える. |
Practice | 医学一般 |
Keywords | 医療療養型病院, 終末期がん患者, 看護師, 困難 |
- 全文ダウンロード: 従量制、基本料金制の方共に770円(税込) です。
参考文献
- 1) 南口陽子:終末期がん患者の療養の場および死を迎える場へのがん患者と家族の意向に関する文献レビュー. 大阪医科大学看護研究雑誌 第9巻, 3-12,2019.
- 2) 日本慢性期医療協会:がん患者の介護保険試験等における療養の実態. https://jamcf.jp/enquete/2015/enquete_09181003roken_finalreport.pdf (平成30年9月5日閲覧)
- 3) 厚生労働省:療養病床の現状と課題. https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu-Shakaihoshoutantou/0000184305.pdf (平成30年11月7日閲覧)
- 4) 厚生労働省:療養病床に関する基礎資料. https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu-Shakaihoshoutantou/0000139018.pdf (平成30年11月7日閲覧)
- 5) 厚生労働省:がん対策推進基本計画. https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000196975.pdf (平成30年9月5日閲覧)
残りの13件を表示する
- 6) 高原和恵, 竹田恵子:医療療養型病床看護師の終末期看護に対する態度-終末期看護に対する不安の有無別にみた特徴-. 川崎医療福祉学会誌 Vol23 No,2:285-290,2014.
- 7) 小林尚司:介護保険施設における高齢者の看取りに関する文献検討. 日本赤十字豊田看護大学紀要 7,5-75,2012.
- 8) PolitDF, BeckCT:看護研究 原理と方法 第2版, 医学書院, 353-353,2010.
- 9) 厚生労働省:医療療養病床(20対1・25対1)と介護療養病床の比較. https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12401000-Hokenkyoku-Soumuka/0000096872.pdf (平成30年10月30日閲覧)
- 10) 吉川直美, 坪井桂子, 浅井恵理, 宇佐美利佳, 奥村美奈子, 梅津美香, 北村直子, 田村正枝, 小野幸子, 吉田さゆり:医療療養型病床における看護活動の現状と課題および教育支援のあり方. 岐阜県立看護大学紀要 第14巻1号:121-130,2014.
- 11) 岡田(北村)奈津子, 山元由美子:ターミナルケアを実践している一般病棟看護師のとまどいの乗り越え方. 日本看護研究学会誌 Vol,35 No,2:35-46,2012.
- 12) 宮下光令, 小野寺麻衣, 熊田真紀子, 大桐規子, 浅野玲子, 小笠原喜美代, 後藤あき子, 柴田弘子, 庄子由美, 仙石美枝子, 山内かず子, 門間典子:東北大学病院の看護師のがん看護に関する困難感とその関連要因. 日本緩和医療学会誌 9,158-166,2014.
- 13) Komatsu H:Mid-term report on St Luke's College of Nursing's21st century Center of Excellence Program;Core elements and specific goals of people-centered care. Japan JOurnal of Nursing Science, 3,71-76,2006.
- 14) 大西和子, 飯野京子, 平松玉江:がん看護学臨床に怒活かすがん看護の基礎と実践 第2版. ヌーヴェルヒロカワ, 308,2018.
- 15) 厚生労働省:療養病床に関する基礎資料. https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu-Shakaihoshoutantou/0000139018.pdf (平成30年11月7日閲覧)
- 16) 木内千晶:療養病床に勤務する看護職の職務関与の構造分析. 日本農村医学学会雑誌 66巻1号, 9-20,2017.
- 17) 柳沢恵美, 金子昌子, 神山幸枝:終末期患者・家族に関わる看護師の葛藤に関する文献研究. 関西看護医療大学紀要 第4巻第1号, 23-29,2012.
- 18) 境 裕子:療養病床における療養上の世話による看護師のエンパワメント. 日本看護技術学会誌 Vol8,No,2:74-81,2009.