アブストラクト
Title | 腸腰筋膿瘍と診断した後に初発の後天性血友病由来の腸腰筋血腫と判明した一例 |
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Subtitle | |
Authors | 兼田慎太郎*, 土持兼信*, 衛藤凱*, 木戸麻理子*, 江口大介*, 大森裕己*, 畑中敬之*, 河野裕介*, 岩崎賢優*, 土屋邦喜* |
Authors (kana) | |
Organization | *JCHO九州病院整形外科 |
Journal | 整形外科と災害外科 |
Volume | 72 |
Number | 4 |
Page | 730-734 |
Year/Month | 2023 / |
Article | 報告 |
Publisher | 西日本整形・災害外科学会 |
Abstract | 【はじめに】腸腰筋膿瘍の患者を診察することは度々経験する. その鑑別に難渋し結果として腸腰筋血腫であった一例を経験したため報告する. 【症例】82歳, 男性. 【主訴】腰背部-右下肢の疼痛, 痺れ. 【既往歴】白内障, 大腸ポリープ. 【臨床経過】3日前から腰痛と右下肢痛が出現し, 疼痛の改善なく, 体動困難となったため, 前医に救急搬送された. MRIで腸腰筋膿瘍と診断され, 当院に搬送された. 炎症反応が高く, 巨大な膿瘍であり外科的にドレナージを行う方針とした. 腎機能が悪く来院当初は単純CTのみで評価した. 放射線科医より血腫の可能性を否定できないとされた. 患者, 家族同意のもとで造影CTを施行したところ, 血管外漏出を認め, 腸腰筋血腫と診断した. 本症例では既往に出血素因となる疾患はなく, 抗凝固薬の内服もなかったため, 血液内科に相談し易出血性の精査を依頼したところ後天性血友病の診断に至った. 【結論】後天性血友病による腸腰筋血腫は稀であるが, 整形外科医でも遭遇しうる疾患の一つであり, 文献的な考察を加えて報告する. |
Practice | 臨床医学:外科系 |
Keywords | acquired hemophilia(後天性血友病), iliopsoas muscle hematoma(腸腰筋血腫), iliopsoas abscess(腸腰筋膿瘍) |
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参考文献
- 1) 町田周平ら : 大腿骨人工骨頭置換術置換後に発症した後天性血友病Aの1例. 東日本整災会誌, 31 : 161-165, 2019.
- 2) 宮川義隆 : 後天性血友病Aの診断と治療. Medical Practice, 35 : 1113-1116, 2018.
- 3) 村山雄大ら : 膿瘍との鑑別を要した後天性血友病Aによる腸腰筋血腫の2例. 東北整災誌, 61 : 142-145, 2018.
- 4) 酒井道生ら : 後天性血友病A診療ガイドライン 2017年改訂版. 血栓止血誌, 28 : 715-747, 2018.
- 5) 佐藤加寿子ら : 術後血腫と膿瘍はCT値で鑑別できる〜卵巣嚢腫摘出術後に再手術を要した症例の反省から. 関東連合産婦人科学会雑誌, 48 : 348-348, 2011.
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- 6) 関 義信ら : 後天性血友病Aの診療実態を把握するための臨床医の意識調査報告. 血栓止血誌, 28 : 510-517, 2017.