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アブストラクト

Title 大腿骨頚部骨折に仰臥位前側方アプローチで人工股関節置換術を施行した46例
Subtitle 大腿骨近位
Authors 小林紘樹1)*, 武谷博明1)
Authors (kana)
Organization 1)埼玉メディカルセンター整形外科, *防衛医科大学校整形外科
Journal 骨折
Volume 43
Number 3
Page 628-630
Year/Month 2021 /
Article 報告
Publisher 日本骨折治療学会
Abstract 「要旨」【目的】転位型大腿骨頚部骨折に対する治療法としては, 置換術が一般的である. ガイドラインでは人工骨頭置換術と人工関節置換術を挙げているが, 今回我々は大腿骨頚部骨折に対して仰臥位前側方(ALS)アプローチでの人工股関節置換術(THA)を施行したため, その成績を報告する. 【方法】2019年中に転位型大腿骨頚部骨折を発症した症例のなかで, 半年以上経過観察が可能であった46例を対象とした. インプラントはカップがZimmer Biomet社のG7, ステムはZimmer Biomet社のtaperloc microplastyを用いた. 手術手技として, アプローチは全例ALSアプローチ, 関節包靱帯は3靱帯ともに切離, 短外旋筋群はいずれも温存で展開した. どの肢位をとっても脱臼しないことを確認してから手術終了とした. 調査項目は手術時間, 出血量, 術後感染の有無, 術後脱臼の有無, 術中骨折の有無, 術後死亡, カップ前捻角, カップ外転角, ADLとした. 【結果】手術時間は65.4分, 出血量は203.5mlであった. 術後感染はなく, 術後脱臼もなかった. 術中骨折は認めなかった. カップ設置は概ね良好であった. 術後1年以内での死亡は1例(2.2%)であった. 死亡理由としては, 退院後数か月の循環器的疾患によるものであった. 【考察】転位型大腿骨頚部骨折に対するTHAの過去の報告では, 機能改善に優れる, 除痛効果に優れる, 再置換例が少ない, などのメリットや, 術時間と出血は有意に多いというデメリットが報告されている. 他方, 人工骨頭置換術では術後脱臼が2〜7%と比較的高い数値となっており, 特に後方アプローチを採用していることで有意に脱臼率が高いとの指摘がある. 本調査では術後の機能改善を求めてTHAを施行し, さらに脱臼率の低下を目的としてALSアプローチを採用したことにより, 良好な成績を得ることができた.
Practice 臨床医学:外科系
Keywords Femoral neck fracture(大腿骨頚部骨折), Total hip arthroplasty(人工股関節全置換術), ALS(仰臥位前側方アプローチ)
  • 全文ダウンロード: 従量制、基本料金制の方共に770円(税込) です。

参考文献

  • 1) 日本整形外科学会, 日本骨折治療学会監, 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会, 大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン策定委員会編. 大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン改訂第2版. 南江堂 ; 2011.
  • 2) 日本人工関節学会日本人工関節登録制度事務局. 人工関節登録調査2016年度報告書. 2016.
  • 3) Kwon MS, Kuskowski M, Mulhall KJ, et al. Does surgical approach affect total hip arthro-plasty dislocation rates? Clin Orthop Relat Res 2006 ; 34(8) : 447-452.
  • 4) 高澤 誠. 前外側進入法と脱臼. 関節外科 2014 ; 33(7) : 714-718.
  • 5) 中田活也. Anterolateral-Supine Approach. 臨整外 2016 ; 51(9) : 809-815.
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  • 6) 藤井淳一, 廣岡孝彦, 小瀬靖郎ほか. 当院における大腿骨近位部骨折・地域連携クリティカルパス活用状況の検討. 中部整災誌 2010 ; 53(3) : 621-622.
  • 7) 古島弘三, 成田俊介, 長尾秋彦ほか. 大腿骨転子部周辺骨折における当院でのクリニカルパス. 骨折 2004 ; 26(2) : 756-758.