アブストラクト
Title | 離床時期は術後ADLに影響を与えるか? - 大腿骨近位部骨折術後の検討 - |
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Subtitle | 大腿骨近位 |
Authors | 釜谷佳幸, 澤井孝一, 江川琢也, 田中誠人1), 田中康仁1) |
Authors (kana) | |
Organization | 岡波総合病院整形外科, 1)奈良県立医科大学整形外科 |
Journal | 骨折 |
Volume | 43 |
Number | 3 |
Page | 656-659 |
Year/Month | 2021 / |
Article | 報告 |
Publisher | 日本骨折治療学会 |
Abstract | 「要旨」大腿骨近位部骨折術後リハビリテーションにおいて, 早期離床を推奨する報告は認められるが早期離床が術後ADLに与える影響は知られていない. 大腿骨近位部骨折術後ADLと早期離床を含めた関連因子に関して調査を行った. 対象は大腿骨近位部骨折に対して骨接合術を施行した症例のうち, 受傷前歩行能力が自立していた52例(平均78.1歳)とした. 調査項目は, 年齢, 立位訓練開始日, 退院時歩行能力, 長谷川式簡易知能スケール(HDS-R), 術前Alb値, 術前Hb値, 術前待機日数とした. 受傷後に歩行能力を維持できた群と, 増悪した群の2群比較を行った. 2群比較の結果, 増悪群は高齢であり, 立位訓練開始日が遅く, HDS-Rが有意に低かった. これらの因子に多変量解析を行うとHDS-Rと術後ADLとの関連性が有意に高かった. 離床時期は術後ADLに少なからず影響を与えるが認知機能の低下が重要であることがわかった. 認知機能の低下が術後ADLに影響を与える可能性がある. |
Practice | 臨床医学:外科系 |
Keywords | Hip fracture(大腿骨近位部骨折), Early mobility(早期離床), ADL:Activities of Daily Living(日常生活動作) |
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参考文献
- 1) 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会, 大腿骨頚部骨折/転子部骨折診療ガイドライン策定委員会. 大腿骨頚部骨折/転子部骨折診療ガイドライン 2011. 改訂第2版. 東京 : 南江堂 ; 2011.
- 2) 高橋哲也, 西田 修, 宇都宮明美ほか. 集中治療における早期リハビリテーション 根拠に基づくエキスパートコンセンサス. 日集中医誌 2017 ; 24(2) : 255-303.
- 3) 菊地忠志. 大腿骨頸部骨折治療後における歩行能力について. 整形外科 2000 ; 43 : 1879-1883.
- 4) 中村精吾. 大腿骨近位部骨折後の移動能力調査. Hip Joint 2018 ; 44 : 507-511.
- 5) 越智龍弥, 中野哲雄, 宮園和樹. 大腿骨近位部骨折における歩行再獲得に影響する入院時所見. 整形外科と災害外科 2004 ; 53(3) : 636-639.
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- 6) 高尾恒彰, 新井 堅, 白石浩一ほか. 大腿骨頸部骨折に対する人工骨頭置換術 早期手術と早期歩行による効果と合併症. 整形外科 2004 ; 55(12) : 1531-1534.
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- 9) 草野雅司, 古田和彦, 片山 健. 大腿骨転子部骨折における術後荷重開始時期が患肢荷重量および歩行能力改善に与える影響. 骨折 2012 ; 34(4) : 736-739.
- 10) 中山智晴, 岩村玲那, 山崎裕司. 大腿骨転子部骨折を受傷した重度認知症患者に対する起居・移乗動作訓練-段階的難易度設定と逆報告連鎖化の技法を用いた介入-. 行動リハ 2017 ; 6 : 28-31.
- 11) 海老原恵理. 大腿骨近位部骨折の手術方法の違いによる術後成績について-γネイル固定と人工骨頭置換術の比較-. 愛知理療学会誌 2017 ; 29(1) : 3-7.