アブストラクト
| Title | 当院の大腿骨頚部骨折と大腿骨転子部骨折の術後生命予後の検討 |
|---|---|
| Subtitle | 学術集会発表論文 大腿骨近位部 |
| Authors | 有馬準之助, 佐久間詳浩, 森貴大 |
| Authors (kana) | |
| Organization | 金沢病院整形外科 |
| Journal | 骨折 |
| Volume | 45 |
| Number | 1 |
| Page | 96-99 |
| Year/Month | 2023 / |
| Article | 報告 |
| Publisher | 日本骨折治療学会 |
| Abstract | 「要旨」大腿骨近位部骨折に関して, 高齢者が増える日本においては2040年までは増加すると言われている. 術後1年の死亡率は日本国内では大腿骨近位部骨折で約10%であるが, 大腿骨頚部骨折(以下, 頚部骨折)と大腿骨転子部骨折(以下, 転子部骨折)を分けて詳細に検討されている文献は少ない. 海外では, 術後1年以内の死亡率は頚部骨折で8〜30%, 転子部骨折で10〜30%という報告がある. 85歳未満は頚部骨折が多く, 85歳以上で転子部骨折が多いこと, また術式などの違いから死亡率が違うのではないかと考えた. そこで, 当院の頚部骨折と転子部骨折のそれぞれの生命予後を検討するために調査を実施した. 対象は2017年4月〜2019年7月までの頚部骨折(114例)と転子部骨折(102例)の手術症例とした. 方法は電子カルテを参照し生存の有無を確認した. 生存の有無が電子カルテで不明な症例はアンケート調査を実施し, 年齢別・術後1年, 2年以内で死亡率を出した. 最終対象症例は頚部骨折で85例(回答率74.6%, 平均年齢81.7, 男性18例, 女性67例), 転子部骨折は76例(回答率74.5%, 平均年齢87.7, 男性10例, 女性66例)であった. 結果は頚部骨折の死亡率は術後1年で8.2%, 術後2年で10.6%, 転子部骨折の死亡率は術後1年で17.1%, 術後2年で31.5%という結果であった. 当院での頚部骨折の術後患者と転子部骨折の術後患者の死亡率は, 転子部骨折の死亡率が高いという結果であった. 転子部骨折のうち, 90歳以上の超高齢患者に関しての死亡率は術後1年以内で25%, 2年以内で50%という結果であった. 超高齢者の転子部骨折術後患者の死亡率は, 過去の報告と比較しても高い傾向であった. 超高齢者患者の手術の際は生命予後について十分な説明が必要と考える. |
| Practice | 臨床医学：外科系 |
| Keywords | Femoral neck fracture(大腿骨頚部骨折), Femoral trochanteric fracture(大腿骨転子部骨折), Postoperative life expectancy(術後生命予後) |
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参考文献
- 1) 日本整形外科学会/日本骨折治療学会監修, 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会/大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン策定委員会編集. 大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021. 改訂第3版. 東京:南江堂;2021.
- 2) Shah MR, Aharonoff GB, Wolinsky P, et al. Outcome after hip fracture in individuals ninety years of age and older. J Orthop Trauma 2001;15:34-39.
- 3) Larsson S, Friberg S, Hansson LI, et al. Trochanteric fractures. Mobility, complications, and mortality in 607 cases treated with the sliding-screw technique. Clin Orthop Relat Res 1990;260:232-241.
- 4) 佐々木 英, 竹川大貴, 苅田祐希子ほか. 90歳以上の大腿骨転子部骨折術後の症例の生命予後と歩行能力. 東日本整災会誌 2016;28:112-116.
- 5) Chehade MJ, Carbone T, Awwad D, et al. Influence of fracture stability on early patient mortality and reoperation after pertrochanteric and intertrochanteric hip fractures. J Orthop Trauma 2015;29(12):538-543.
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- 6) 前田周吾, 末綱 太, 望月充邦ほか. 高齢者大腿骨頚部・転子部骨折手術症例の生命予後. 東日本整災会誌 2008;20:15-18.
