アブストラクト
| Title | 高齢者の上腕骨近位端骨折に対する髄内釘固定術の治療成績および成績不良因子の検討 |
|---|---|
| Subtitle | 〈学術集会発表論文〉 上腕骨 |
| Authors | 澤田啓*1, 寺浦英俊*2, 谷浦圭*2, 山本耕平*2, 上野健太郎*2 |
| Authors (kana) | |
| Organization | *1香芝生喜病院整形外科, *2東住吉森本病院整形外科 |
| Journal | 骨折 |
| Volume | 45 |
| Number | 3 |
| Page | 772-775 |
| Year/Month | 2023 / |
| Article | 報告 |
| Publisher | 日本骨折治療学会 |
| Abstract | 「要旨」 【背景】高齢者の上腕骨近位端骨折に対する髄内釘固定術はおおむね治療成績が安定しているが, 骨折型や転位の程度により治療に難渋することがある. 【目的】当科での治療成績を調査し, 成績不良因子を検討すること. 【研究デザイン】ケースシリーズ. 【設定】民間病院1施設での後ろ向き研究. 【対象】2013年以降に上腕骨近位端骨折に対して髄内釘固定を施行した症例のうち, 65歳以上, 経過観察期間6か月以上, 認知症がなくリハビリ可能であった43例(男性8例, 女性35例). 【要因】DePuy Synthes MultiLoc PHNを使用した. 【主要アウトカム】年齢, 骨折型(AO/OTA分類), head shaft angle (HSA)(受傷時, 術後の矯正損失), 後屈(受傷時, 術後の矯正損失), 内側ヒンジの有無(受傷時, 術後), inferomedialスクリューの有無, 骨頭内ロッキングスクリュー数と最終時の関節可動域(ROM)(屈曲, 外転, 外旋, 自動挙上), JOAスコアとの関連性を検討した. 統計学的処理にはMann-Whitney U検定, Kruskal-Wallis検定, Spearman順位相関係数を用いp<0.05を有意差ありとした. 【結果】平均年齢77.5歳, 平均経過観察期間10.3か月, 骨折型はA: 21例, B: 18例, C: 4例であった. 2例で術後骨片の転位が生じたため再手術を施行した. HSAは受傷時125°(外反型9例, 内反型15例), 最終時136°, 矯正損失1°, 後屈角度は受傷時29°, 最終時5°, 矯正損失1°, 内側ヒンジ有は受傷時7例, 術後30例, 骨頭内ロッキングスクリュー5.8本, inferomedialスクリュー有は28例, ROMは屈曲134°, 外転126°, 外旋40°, 自動挙上134°, JOAスコア88点であった. 骨折型, HSA, 後屈角度, 内側ヒンジの有無, inferomedialスクリューの有無, 骨頭スクリュー本数とROM, JOAスコアに相関は認めなかったが年齢と外転角度, JOAスコアに有意に負の相関を認めた. 【結論】再手術を施行した2例以外は矯正損失はほぼなく整復位保持が可能で, ROM, 治療成績は良好であった. 年齢が成績不良因子であった. |
| Practice | 臨床医学：外科系 |
| Keywords | Proximal humeral fractures (上腕骨近位端骨折), Intramedullary nail (髄内釘), Elderly (高齢者) |
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参考文献
- 1) Palvanen M, Kannus P, Niemi S, et al. Update in the epidemiology of proximal humeral frac-tures. Clin Orthop Relat Res 2006 ; 442 : 87-92.
- 2) Agudelo J, Schurmann M, Stahel P, et al. Anal-ysis of efficacy and failure in proximal humerus fractures treated with locking plates. J Orthop Trauma 2007 ; 21 : 676-681.
- 3) 寺浦英俊, 大はた武夫, 住友 暁ほか. 高齢女性の上腕骨近位端骨折に対するDePuySynthes MultiLoc PHNの治療成績-MultiLocはどこまで適応可能か-. 骨折 2019 ; 41 : 395-399.
- 4) Euler SA, Hengg C, Kolp D, et al. Lack of fifth anchoring point and violation of the insertion of the rotator cuff during antegrade humeral nailing : pitfalls in straight antegrade humeral nailing. Bone Joint J 2014 ; 96 : 249-253.
- 5) 井上尚美, 佐藤克巳. 上腕骨近位端骨折に対する髄内釘骨接合術-手術手技の注意点と工夫-. 骨折 2010 ; 32 : 321-325.
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- 6) 寺田忠司, 山口浩, 大槻健太ほか. ARISTO proximal humeral nailを用いた上腕骨近位端骨折の治療経験. 骨折 2018 ; 40 : 69-82.
- 7) 親富祖 徹, 小川健一, 山田宏毅ほか. Locking Plate固定(PHILOS(TM))を行った上腕骨近位端骨折の治療成績. 整外と災外 2020 ; 69 : 344-348.
- 8) 大羽宏樹, 深谷泰士, 井戸田 大. 高齢者の上腕骨近位端骨折に対する髄内釘を用いた観血的治療の成績. 肩関節 2014 ; 38 : 852-854.
- 9) 寺浦英俊, 大はた武夫, 住友 暁ほか. 高齢者AO分類B, C型上腕骨近位端骨折に対するDePuy-Synthes MultiLoc Proximal Humeral Nailを使用した治療法. 骨折 2017 ; 39 : 44-47.
