アブストラクト
Title | 持続局所抗生剤灌流 (CLAP) を行った人工骨頭置換術後早期感染症例の治療成績 |
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Subtitle | 学術集会発表論文 その他 |
Authors | 田中雅仁, 藤澤拓真, 笹井健吾, 加茂裕樹, 高橋滋, 猪川智博 |
Authors (kana) | |
Organization | 旭川赤十字病院整形外科 |
Journal | 骨折 |
Volume | 46 |
Number | 1 |
Page | 180-184 |
Year/Month | 2024 / |
Article | 報告 |
Publisher | 日本骨折治療学会 |
Abstract | 「要旨」【背景】大腿骨頚部骨折に対する人工骨頭置換術(BHA)の課題として, 人工関節周囲感染(PJI)がある. 術後早期PJIに対してデブリドマンと抗生剤投与によるインプラントの温存(DAIR)が試みられるが, その成功率は22%との報告もあり良好とは言えない. 我々はDAIR成功率向上を期待して持続局所抗生剤灌流(CLAP)を併用している. CLAP併用によりDAIRの成功率は向上すると仮定し, その治療成績調査した. 【目的】CLAP併用によりDAIRの成功率は向上するか調査すること. 【対象と方法】2020年4月〜2022年10月の期間にBHAを行った158例のうち, 術後早期PJIを発症した6例を対象とした. BHAからPJI診断までの期間, 起因菌, CLAP併用期間, WBC/CRPの推移, 全身投与抗生剤の種類と期間, DAIRの成否と感染鎮静化までの期間, 最終経過観察時のADLを調査した. 【結果】男性2例, 女性4例, 平均年齢80歳. PJI診断までの期間は1か月以内3例, 1〜3か月3例, 起因菌はMSSA 3例, MRSA 1例, MRSE 1例, Enterococcus faecalis 1例であった. PJI確認時WBCは1例を除き正常, CRP 0.9〜12.4. CLAP併用期間はCRP<1に改善した4例が2週間, CRP>1が持続した2例が3週間. CLAP終了後, 2例で創部からの滲出液が持続したが抗生剤内服と創処置を継続し, 3か月で感染は鎮静化した. 1例が3か月後に死亡, 1例が認知機能の低下, 4 例は術後半年で術前ADLを維持していた. 【考察】BHA後PJIはインプラントの抜去や再置換が必要となればADLの低下は免れない. DAIRにCLAPと適切な全身抗生剤投与を用いることにより短期間に感染を沈静化することができADLの低下も最小限であった. 【結論】人工骨頭挿入術後感染にはDAIRにCLAP併用は有用であり試みて良い. |
Practice | 臨床医学:外科系 |
Keywords | Hemiarthroplasty(人工骨頭置換), Peri-prosthetic joint infection(人工関節周囲感染), Continuous local antibiotics perfusion(持続局所抗菌薬灌流) |
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参考文献
- 1) 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会. 6.5人工物置換の合併症大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021改訂第3版. 南江堂 ; 2021. p.76-78.
- 2) Yassin M, Sharma V, Butt F, et al. Early Peri-Prosthetic Joint Infection after Hemiarthro-plasty for Hip Fracture : Outcomes of Debride-ment, Antibiotics, and Implant Retention. Surg Infect 2020 ; 10(20): 834-839.
- 3) 圓尾明弘, 井口貴雄, 宮 秀俊ほか. 股関節のPJIに対するCLAPによるインプラント温存治療の有用性. 日骨関節感染会誌 2020 ; 34 : 1-4.
- 4) Depypere M, Kuehl R, Metsemakers WJ, et al. Recommendations for Systemic Antimicrobial Therapy in Fracture-Related Infection : A Con-sensus from an International Expert Group. J Orthop Trauma 2020 ; 34(1): 30-41.
- 5) Parvizi J, Gehrke T, Chen AF. Proceedings of the Inter-national Consensus on Peripros-thetic Joint Infection. Bone Joint J 2013 ; 95-B : 1450-1452.
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- 6) Parvizi J, Gehrke T, Mont MA, et al. Introduc-tion : Proceedings of International Consensus on Orthopedic Infections. J Arthroplasty 2019 ; 34 : S1-S2.
- 7) Zimmerli W, Widmer AF, Blatter M, et al. Role of rifampin for treatment of orthopedic implant-related staphylococcal infections : a randomized controlled trial. Foreign-Body Infection(FBI)Study Group. JAMA 1998 ; 279(19): 1537-1541.
- 8) 松下和彦, 秋山 唯, 鳥居良昭ほか. 骨感染症における抗菌薬の適正使用. 別冊整形外科 2022 ; 81 : 120-122.