アブストラクト
| Title | 大腿骨転子部骨折の髄内釘術後偽関節に対して人工骨頭挿入術を施行した2例 |
|---|---|
| Subtitle | 〈学術集会発表論文〉 症例報告 |
| Authors | 平田健司, 河野祥太郎, 茶川一樹 |
| Authors (kana) | |
| Organization | 周東総合病院整形外科 |
| Journal | 骨折 |
| Volume | 46 |
| Number | 2 |
| Page | 593-598 |
| Year/Month | 2024 / |
| Article | 報告 |
| Publisher | 日本骨折治療学会 |
| Abstract | 「要旨」 【背景】大腿骨転子部骨折の術後偽関節は比較的稀であるが, 偽関節に対する治療方法については一定の見解は得られていない. この度, 大腿骨転子部骨折の術後偽関節に対して人工骨頭挿入術を行った症例を経験したので報告する. 【症例1】79歳, 男性. 元漁師. 船の塗装中に約1mの高さから転落して受傷. 右大腿骨転子部骨折(中野分類type I-4 part)の診断で, 受傷4日後に骨接合術(Stryker社: Gamma3)を施行. 術後3か月, CTで癒合傾向になくPTHを開始. 以降も癒合傾向になく, 術後12か月で人工骨頭挿入術を施行した. 再手術後1年, 痛みなく独歩可能で元の生活が可能となっている. 【症例2】79歳, 男性. みかん農家. 自宅屋根の瓦を修理していた際に転落して受傷. 右大腿骨転子部骨折(中野分類type I-3 part A, カルカーと前壁外側に粉砕軽度あり)の診断で受傷3日目に骨接合術(Smith & Nephew社: InterTAN)を施行. 受傷時X線で左坐骨に硬化像あり, 前立腺癌の診断で術後1か月よりホルモン療法が開始された. 術後3か月には独歩で農業に復帰していたが, CTでは癒合傾向になくLIPUSを開始. 以降も癒合傾向になく, 術後9か月に人工骨頭挿入術を施行した. 再手術後1年, 痛みなく独歩可能で農業にも復帰している. 【考察】本症例において偽関節の要因として, 整復不良, インプラントの固定力不足, 喫煙, 活動性の高い男性であることが考えられた. 2症例とも高齢であったことから偽関節への対応として人工骨頭挿入術を選択したところ, 再手術後の荷重制限が不要となり早期にADLが改善した. 【結論】高齢の大腿骨転子部骨折の術後偽関節に対して人工骨頭挿入術による再手術によって早期にADL改善が得られた. |
| Practice | 臨床医学:外科系 |
| Keywords | Femoral trochanteric fracture (大腿骨転子部骨折), Nonunion (偽関節), Bipolar head arthroplasty (人工骨頭挿入術) |
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参考文献
- 1) 大腿骨転子部骨折の治療. 日本整形外科学会診療ガイドライン委員会, 大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン策定委員会編. 大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン 2021. 改訂第3版. 東京都:南江堂;2021. p.83-109.
- 2) 高橋将輝, 長沼 靖, 田中 賢ほか. インプラント折損を生じた不安定型大腿骨転子間骨折の3例. 東北整災誌 2022;65:119-123.
- 3) 額田昌門, 山岡伸行, 鶴薗雅史ほか. DYAX-A nailの折損を生じた大腿骨転子部骨折の1例. 骨折 2009;31(2):326-330.
- 4) Benz D, Tarrant SM, Balogh ZJ. Proximal femur fracture non-union with or without implant failure:A revision technique with clinical outcomes. Injury 2020;51:1925-1930.
- 5) 安藤輝彦, 吉村将秀, 岡崎勇樹ほか. インプラント折損を伴う大腿骨近位部骨折術後偽関節の治療経験. 中四整会誌 2022;34:257-261.
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- 6) 川谷洋右, 米村憲輔, 緒方宏臣ほか. 大腿骨転子部骨折癒合不全に対するlateral cortical notching法の治療経験. 骨折 2018;40(4):1025-1028.
- 7) 中村文紀, 竹下秀之, 西垣泰典ほか. 大腿骨転子部骨折術後偽関節に対するS-ROM人工骨頭置換術の治療経験. 骨折 2013;35(2):366-370.
- 8) 辻本由美子, 原口圭司, 真田英明ほか. 大腿骨転子部骨折(AO分類 31-A3)術後偽関節に対し人工股関節全置換術を行った一例. 日人工関節会誌 2020;50:567-568.

