| Abstract |
「要旨」【背景】超高齢化社会において, 高齢者における大腿骨近位部骨折の件数は増加傾向にある. 当院は, 市内唯一の二次医療機関であり, リハビリテーション転院を行わない特性を活かし, 術後の最終的な歩行能力の評価が可能である. 1施設での入院から社会生活復帰までの歩行能力を一貫して評価した報告は過去にない. 【目的】高齢者の大腿骨近位部骨折術後の最終的な歩行能力低下における要因を明らかにすること. 【研究デザイン】過去起点コホート研究. 【設定】地方2次医療機関1施設, 連続する症例. 【対象】2023年1〜12月に大腿骨近位部骨折に対して手術加療を行った全患者. 【要因】大腿骨近位部骨折として, 大腿骨頚部骨折および大腿骨転子部骨折で手術加療を行ったものを対象とした. 【主要アウトカム】受傷前および退院時(自宅または施設へ)の歩行能力をFunctional Independence Measure(FIM)の歩行項目で評価を行った. 副次評価項目は性別, 年齢, 手術待機日数, 骨折型(頚部または転子部), 麻酔種類, 入院日数, 術後から車いす離床までの日数, 受傷前歩行能力, 併存疾患(認知症, 神経疾患, 癌既往), 脆弱性骨折既往, 反対側同部位骨折, 骨粗鬆症治療介入歴, Geriatric Nutritional Risk Index(GNRI)として多変量解析を行い, 有意水準は0.05とした. 【結果】対象は72例で, 大腿骨頚部骨折群30例, 大腿骨転子部骨折群42例であった. 平均年齢は85.6歳, 男性17例, 女性55例であった. 離床日数(平均3.9日:オッズ比1.14, 95%CI:1.01-1.28, p<0.05)および癌既往患者(オッズ比5.71, 95%Cl:1.53-21.2)で有意に退院時に歩行能力の低下を認めた. ほかの項目では有意差はなかった. 【結論】高齢者における大腿骨近位部骨折では, 離床に時間がかかる場合および癌既往患者においては歩行能力の低下を引き起こす可能性が高いと考えられる. |