アブストラクト
| Title | 不安により手の使用頻度の低下がみられた橈骨遠位端骨折の一例 |
|---|---|
| Subtitle | 症例報告 |
| Authors | 伊藤由樹※1), 西村信哉※1), 塚本利昭※1), 上里涼子※2), 津田英一※3) |
| Authors (kana) | |
| Organization | ※1)弘前大学医学部附属病院リハビリテーション部, ※2)弘前大学大学院医学研究科整形外科学講座, ※3)弘前大学大学院医学研究科リハビリテーション医学講座 |
| Journal | 青森県作業療法研究 |
| Volume | 27 |
| Number | 1 |
| Page | 31-34 |
| Year/Month | 2019 / |
| Article | 報告 |
| Publisher | 青森県作業療法士会 |
| Abstract | 「要旨」手の使用に対する不安は上肢疾患患者の能力低下や予後の不良に関連すると報告されている. 今回, 橈骨遠位端骨折を受傷後, 疼痛発現に対する不安により手の使用頻度が低下した症例を経験した. 症例は50歳代女性, 転倒により左橈骨遠位端骨折を受傷し, 保存療法の方針となった. 4週のギプス固定後から関節可動域訓練を開始し, 訓練開始後1週間で日常生活の遂行に十分な関節可動域を獲得したが, 患手使用による疼痛発現の不安により左手の使用頻度が低下していた. そこで, 症例にとって必要なADL・IADL指導を関節可動域や骨癒合の状態に応じて段階的に行い, 痛みなく動作が可能なことを確認した. そのことで, 疼痛発現の不安は消失し, ADL・IADL動作は自立に至った. これらの成果は機能面に対する訓練だけでなく, 生活動作における疼痛への不安を考慮した具体的かつ段階的な動作指導が有効に作用したものと考えられた. |
| Practice | 医療技術 |
| Keywords |
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参考文献
- 1) 今井亮太, 大住倫弘, 平川義之:橈骨遠位端骨折術後患者に対する腱振動刺激による運動錯覚が急性疼痛に与える影響. 理学療法学 42(1), 1-7, 2015.
- 2) 松岡紘史, 坂野雄二:痛みの認知面の評価:Pain Catastrophizing Scale日本語版の作成と信頼性及び妥当性の検討. 日本心身医学学会誌 47(2), 95-102,2007.
- 3) Hudak PL et al:Development of an upper extremity outcome measure:DASH(disabilities of the arm, shoulder, and hand). Am J Ind Med 29:602-608, 1996.
- 4) Imaeda T et al:Validatien of the Japanese society for surgery of the hand version of the disability of the arm, shoulder, and hand questionnaire. J Orthop Sci 10:353-359, 2005
- 5) 石川篤, 角田亘, 田口健介, 粳間剛, 安保雅博:本邦の生活に即した脳卒中後上肢麻痺に対する主観的評価スケール作成の試み-日常生活における「両手動作」と「片手動作」に注目して-. 東京慈恵医科大学雑誌 125, 159-167, 2010.
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- 6) 志水宏行, 埜口義広, 長谷川龍一, 梶原敏夫:前腕骨折の治療成績不良例のADL上の問題点-前腕回内外制限および手関節掌背屈制限とADL制限-. ハンドセラピィ3. 骨折I:前腕・手部, メディカルプレス, 東京, 1997, pp35-47
- 7) 山部:英行, 池上博康:橈骨遠位端骨折:本当の手術適応とは?. Bone Joint Nerve 5(3), 400-505, 2015.
- 8) 斎藤英彦, 森谷浩治:橈骨遠位端骨折進歩と治療法の選択. 金原出版, 東京, 2010, pp257-263.
- 9) 平田淳也, 井上桂子, 山本智代, 有田清三郎:上肢運動期疾患における術後の痛みの予測因子. 作業療法 33(2), 148-155, 2014.
