Authors |
鈴木美奈子, 石川真, 栗本ちえ子, 淀川祐紀, 森岡将来, 栗林ももこ, 山下亜由子, 後藤瑞穂, 後藤俊二, 内藤幸恵, 佐々木禎仁, 加藤英二 |
Abstract |
「概要」【背景・目的】産後うつは社会的孤立がリスク因子である. COVID-19が流行した2020年は, 感染の不安に加え, 外出自粛などの社会環境の変化があり, 産後うつが増加したとの報告がある. 早期の産後うつの検出のため, エジンバラ産後うつ病問診票(EPDS)でのスクリーニングが重要となる. 2020年に当院で出産した産婦で, EPDS高得点症例数を前年と比較し, また, 児がNICUに入院した褥婦において, 面会制限がEPDS結果に影響したかを検討する. 【方法】2019年から2020年に当院で分娩と産後健診でのEPDSの評価をした産婦を対象とし, 9点以上または質問10が1点以上の症例を産後うつハイリスクスク例(陽性例)とした. 両年間で陽性例の割合を比較した. また, 児の新生児科への入院有無で層別化して検討した. 【結果】対象は2019年が432例, 2020年が466例で, 陽性例は2019年が31例(7.2%), 2020年が55例(11.8%)であり, 2020年で陽性例が多かった. 児が新生児科に入院となった母(NICU母)の対象は2019年が161例, 2020年が166例で, そのうち陽性例は2019年が15例(9.3%), 2020年が28例(16.9%)であり, 同様に2020年で陽性例が多かった. 【結論】2019年に比して, COVID-19が流行した2020年は産後うつハイリスクの産婦が増加した. 感染予防に関連する社会活動の自粛などが妊産婦の心理的な負担につながっていると考えられた. 周産期医療においては感染予防しつつ, 妊産婦の心理的なフォローに努める必要がある. |