アブストラクト
Title | 最新のアレルギー性鼻炎治療 - ガイドライン改訂と抗ヒスタミン薬による治療戦略 - |
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Subtitle | 総説「第121回日本耳鼻咽喉科学会総会ランチョンセミナー」 |
Authors | 後藤穣 |
Authors (kana) | |
Organization | 日本医科大学耳鼻咽喉科 |
Journal | 日本耳鼻咽喉科学会会報 |
Volume | 124 |
Number | 7 |
Page | 943-947 |
Year/Month | 2021 / 7 |
Article | 報告 |
Publisher | 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会 |
Abstract | 鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版(改訂第9版)が2020年7月に改訂された. 今回の改訂では2019年に実施されたアレルギー性鼻炎有病率調査結果が掲載されたこと, 病態メカニズムに自然II型リンパ球の関与が明記されたこと, 重症・最重症スギ花粉症に対して抗IgE抗体療法が推奨されたことなどが新しい改訂ポイントである. アレルギー性鼻炎・花粉症の治療の原則は, 抗原除去・回避, 薬物療法, アレルゲン免疫療法, 手術療法の4つがある. 近年, 薬物療法薬では複数の非鎮静性第2世代抗ヒスタミン薬が新しく上市された. 鎮静作用がほとんどなく, 安全性が高い薬剤が選択できるようになった. 舌下免疫療法ではスギ舌下錠が市販され舌下液よりも高い有効性を示し, スギ舌下錠とダニ舌下錠の併用も安全性の高い治療法であることが臨床研究で確かめられた. 低年齢のスギ花粉症有病率が増加しているが, 根治的治療であるアレルゲン免疫療法を小児期から積極的に開始することも考慮すべきである. また, 2019年12月にはアレルギー性鼻炎領域では, 世界初の生物学的製剤が重症以上のスギ花粉症に対して適応追加された. 抗ヒスタミン薬などの薬物療法や舌下免疫療法は軽症から最重症までの患者に推奨されているが, 抗IgE抗体療法は重症以上のスギ花粉症に対してのみ使用できる. 患者の病型や重症度に応じて適切に治療方法を選択すべきである. |
Practice | 臨床医学:一般 |
Keywords | 非鎮静性第2世代抗ヒスタミン薬, 舌下免疫療法, 抗IgE抗体療法, 鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版(改訂第9版) |
- 全文ダウンロード: 従量制、基本料金制の方共に770円(税込) です。
参考文献
- 1) 鼻アレルギー診療ガイドライン作成委員会:鼻アレルギー診療ガイドライン2020年版(改訂第9版). ライフ・サイエンス;2020.
- 2) 松原 篤, 坂下雅文, 後藤 穣, 他:鼻アレルギーの全国疫学調査2019(1998年,2008年との比較)速報 耳鼻咽喉科医およびその家族を対象として. 日耳鼻 2020;123:485-490.
- 3) Church MK, Maurer M, Simons FE, et al:Risk of first-generation H1-antihistamines: a GA2LEN position paper. Allergy 2010;65:459-466.
- 4) Gotoh M, Yonekura S, Imai T, et al:Long-term efficacy and dose-finding trial of Japanese cedar pollen sublin-gual immunotherapy tablet. J Allergy Clin Immunol Pract 2019;7:1287-1297.e8.
- 5) Gotoh M, Okubo K, Yuta A, et al:Safety profile and im-munological response of dual sublingual immunotherapy with house dust mite tablet and Japanese cedar pollen tablet. Allergol Int 2020;69:104-110.