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アブストラクト

Title 「第121回日本耳鼻咽喉科学会総会手術手技セミナー」 気管切開術 - 合併症の予防と対応 - 小児気管切開術の合併症とその対応
Subtitle 総説
Authors 仲野敦子
Authors (kana)
Organization 千葉県こども病院耳鼻咽喉科
Journal 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会会報
Volume 124
Number 8
Page 1166-1170
Year/Month 2021 / 8
Article 報告
Publisher 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会
Abstract 小児の気管切開術は, 手技や合併症は成人の気管切開と同じ部分も多いが, 身体が小さく術野も狭いため手術操作上の小児特有の注意点もある. また, 小児では気管切開術の適応となる疾患は成人例と大きく異なり, 先天性疾患や重症心身障害児などが多い. これらの点も含めて, 手術の適応, 術式の選択, 術中の注意点, 術後管理の面でも異なる点がある. 当院での, 2016〜2018年の気管切開術(喉頭気管分離術17例を含む)50例中1歳未満が24%を占め, 気管切開例だけでは1歳未満が全体の41.6%となっていた. 年齢が上がると, 喉頭気管分離術を選択した例が増加していた. 乳幼児では, 気管切開による長期の呼吸管理が必要な例でも成長により改善を認める例なども経験しているため, 乳児期には喉頭気管分離術や永久気管孔増設術は実施しない方針としている. 小児の気管切開術は, 術野が狭いことに加え, 気管壁も含め組織が柔らかいため, 成人より丁寧な操作が必要となる. 術後早期合併症として重要なカニューレの閉塞や計画外抜管およびその後のカニューレ誤挿入は, 術中に極力出血させず十分な止血を行うことと, 術後管理が重要になる. また, 術後管理が重要である晩期合併症である気管腕頭動脈瘻や気管孔および気管内肉芽に対しても, 十分に考慮して手術を実施する. 合併症の予防は, 耳鼻咽喉科医だけではなく小児科主治医や看護スタッフとの連携も重要である.
Practice 臨床医学:一般
Keywords 気管カニューレ, 気管腕頭動脈瘻, 喉頭気管分離術
  • 全文ダウンロード: 従量制、基本料金制の方共に770円(税込) です。

参考文献

  • 1) 耳鼻咽喉科用語解説集. 日本耳鼻咽喉科学会編, 金芳堂; 2010: 31頁.
  • 2) 耳鼻咽喉科用語解説集. 日本耳鼻咽喉科学会編, 金芳堂; 2010: 99-100頁.
  • 3) 守本倫子: 小児の気管切開 適応と留意点. 日耳鼻 2012; 115: 939-943.
  • 4) 星野陸夫, 後藤彰子, 山田美智子: 増加しつつある小児気管切開の状況. 小児科臨床 2005; 58: 2037-2045.
  • 5) 日衛嶋郁子, 熊田知浩, 宮嶋智子, 他: 重症心身障害児における急性呼吸不全に対する非侵襲的陽圧換気療法の有効性と限界. 脳と発達 2016; 48: 420-424.
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  • 6) 大藤純, 乾大資, 山口治隆, 他: 人工呼吸器からの離脱に非侵襲的陽圧換気を使用した乳児2症例. 日集中医誌 2008; 15: 527-531.
  • 7) 仲野敦子: 小児気管切開の手技と合併症-up to date-こども病院の立場から-合併症を起こさないために-. 小児 2019; 40: 183-187.
  • 8) 小河原昇: 気管切開術. 小児耳鼻咽喉科第2版. 日本小児耳鼻咽喉科学会 編, 金原出版; 2017: 451-456 頁.