~
検索条件をクリア

アブストラクト

Title 人工膝関節全置換術後3カ月における身体活動量および臨床症状・運動機能の変化
Subtitle 原著論文 〈TKA〉
Authors 岡本卓也1,2,3, 石田朋大3, 赤尾真知子1, 加藤智弘1, 高田琢也1, 小早川恭介1, 山梨裕貴1, 出家正隆1
Authors (kana)
Organization 1愛知医科大学整形外科, 2愛知医科大学運動療育センター, 3愛知医科大学病院リハビリテーション部
Journal JOSKAS
Volume 47
Number 3
Page 614-618
Year/Month 2022 /
Article 原著
Publisher 日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会
Abstract 【はじめに】 変形性膝関節症(knee osteoarthritis; 膝OA)に対する人工膝関節全置換術(total knee arthroplasty; TKA)の効果として, 疼痛の緩和や歩行能力の改善などの良好な転帰をもたらすことが報告されているが, 実際の活動性については不明な点が多い. 身体活動量は日常生活を客観的に評価できる指標であり, 膝OA患者では身体活動量の低下が報告されているが, 術後の改善度に関しては一定の見解が得られていない. 本研究では術後3カ月におけるTKAの短期成績について臨床症状や運動機能に加えて, 身体活動量の面からも調査することを目的とした. 【対象と方法】 対象は2019年5月〜2020年12月に当院で初回TKAを施行された患者20名とした. 臨床症状は疼痛visual analogue scale (VAS)とKnee Injury and Osteoarthritis Outcome Score (KOOS)を用い, 運動機能は10m歩行テストとtimed up and go test (TUG)を用いて, 術前と術後3カ月に評価した. 身体活動量は活動量計を用いて, 術前と術後1カ月および3カ月時点での平均歩数(歩/日), 運動強度3METs未満相当のlight physical activity (LPA)の時間(分/日), 3METs以上相当のmoderate-to-vigorous physical activity (MVPA)の時間(分/日)を測定した. 【結果】 疼痛VAS, KOOS, 10m歩行テスト, TUGは術前と比較して術後3カ月で有意に改善した. 平均歩数およびMVPAは術前と術後1カ月, 術前と術後3カ月では有意差を認めなかったが, 術後1カ月と術後3カ月で有意差を認めた. LPAに関しては術前と術後1カ月で有意差を認めたが, 術後1カ月と術後3カ月, 術前と術後3カ月では有意差を認めなかった. 【考察】 TKAによって術後3カ月時点で臨床症状と運動機能が有意に改善した一方で, 身体活動量は有意な改善を認めなかった. 本研究の結果は術前だけでなく, 術後3カ月においても高齢者の健康や疾患予防のために推奨されている値を大きく下回っていた. 臨床症状や運動機能が改善しても, 一度低下した活動量を術後に向上させることは容易でなく, TKA術前の活動量低下を予防する術前介入が重要である. しかし術前では積極的な介入や長時間の運動が困難な場合も考えられるため, 膝OA患者の身体活動量をモニタリングし, 著明な低下をきたす前に手術を検討することも必要である. また術後においては, 症状が改善された術後3カ月以降も活動量の向上を目指した継続的な運動指導・生活指導が重要である.
Practice 臨床医学:外科系
Keywords knee osteoarthritis (変形性膝関節症), total knee arthroplasty (人工膝関節全置換術), physical activity (身体活動量)
  • 全文ダウンロード: 従量制、基本料金制の方共に770円(税込) です。

参考文献

残りの7件を表示する